涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。



「じゃあ、ね……」



家の前。


レイと離れるのは本当にイヤだけど、でも頑張って笑顔をつくった。



「……そんな顔されたら帰れんて」



……やっぱりつくれてなかったみたい。



「わかっとる……」



繋いでるレイの手を親指でさすったりして、誤魔化すように。
一秒でも長くレイといたい。


……ダメやなぁ、私。



「じゃあまた。新学期」


「……うん」



レイが笑って背中を向けた。

離れた手。


遠ざかるレイの姿を、
何度も振り返ってくれるレイを、私は見えなくなるまで見ていた。



「ただいま……」


「サクちゃん!!今何時やと思ってんの!?」



玄関の扉を開けると待ってましたと言わんばかりに美紀さんがすごい形相で怒鳴って来た。


いきなりで、すごくびっくりした。