「泣かんで……」
ケンカしたあの頃とは違う。
泣くのは、私だけ。
私よりも大人になってるレイは優しく涙を溶かすように、目、それから頬へとキスをした。
「……レイのキス魔」
「サクの泣き虫」
拗ねたようにレイを見て、目が合うとぷっと二人同時に笑いだす。
たくさん泣いたらスッキリした。
君を想うと、君への想いがいっぱいで胸が張り裂けそうになる。
愛が、いっぱい。
ベンチのうえで指を繋いで、またキスをした。
何度目のキスだろう……?
数がかぞえられなくなった時には、もう日付けが変わっていた。
「帰りたくねぇな……」
言ったのはレイで、すごくうれしくて。
でももう帰らなきゃいけない。



