あの時、あの瞬間。
私があいつのことを殺したいって、全部終わらせようなんて思わなかったら、お母さんはまだ生きていたかもしれない。
そしたら別の未来が待っていたかもしれない。
私が壊した。
お母さんの未来。
お母さんは死なずに、
私も泣かずに、
二人で笑って生きる道も、あったかもしれんのに。
それなのに、私は……お母さんがあいつを刺した瞬間……安心してしまったんだ……。
……ほっと、したんだ。
やっと解放されるって。
これで私は幸せになれるって。
すぐに自己嫌悪におちいったけれど。
一瞬でもそんなことを考えてしまった私は……最低最悪だ。
「私が…壊した……」
「サク」
「私が全部悪いと……」
「サク」
だから私が今、こんなに苦しんでいることとか全部自分のせいなんやから、誰にも頼ることなんて許されない。
許されるはずがない。
「消えたいよ……レイ……」
感情も、考える頭も、全部いらない。
いっそ死んで楽になりたい……。
「サクは、生きてよ」
レイが、泣いてる……?
「サクが死んだらイヤやし、俺……」



