涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。



ベンチに座って夏の空気を肺に入れたらほんの少し落ち着いた。


巾着の中にあるスマホがさっきから震えてる。


……圭都からかな。


あとでかけ直そう。
今は連絡したくないかも。


だって、隣にはレイがいる。


こんなのダメかもしれんけど、この丘にいる私たちだけ、別世界にいるみたいに感じるっちゃん。


誰にも、邪魔されたくない。


手を巾着の中にそっと忍ばせて電源を落とした。



「星、綺麗やなぁ」



レイの言葉に顔を上げる。


本当だ。めっちゃ綺麗や。


圭都といる時は空なんて見る余裕なくて気づかなかったけど。


田舎で見る星は、ロマンチックで好き。