涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。



ドドン!ドン!


レイに会えたことで一瞬だけ気が緩んだけど、耳に届いたその大きな音にはっと我にかえり、また走り出した。


汗が額をすべる。



「はぁはぁ……」



やだ…っもう、ムリだ…っ


息も切れ切れに、その場にしゃがみ込んでしまう。


足がすくんでもう走れない。


早く終われ。早く終われ。


強く目を瞑って、花火が終わるのをただ待とうと思った。


その時ーーーー…



「サクヤ!!!」



私を呼ぶ、声。


誰かの手が、耳をおさえていた手首を掴む。


瞑っていた目を開けて顔をあげるとそこには汗だくになりながらたくさんの人の中で私を見つけてくれた……



「レイ……っ」



君が、いた。


座り込む私を引っ張り上げるように立たせると、レイはそのまま私の手を引いて。


……走り出した。