涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。



この場にいることが耐えきれず、繋いでいた手を放して、私は人混みの中を走った。


鳴り止まない花火の音を聞きたくなくて、耳を手のひらで強くふさいだ。


……怖い!!


大きな音が、怖い。
隙間なく続く大きな音。


……そうだ。似てるからだ。



『ふざけんな!!さっさ金出せちゃ!!』



怒鳴りながら台をひっくり返して暴れるあいつがいる時もこんな感じだった。


常に大きな音、怒鳴り声が耳に響いてた。


トラウマになってるんや…ーーーー。


早く音のないところへ行きたくて、たくさんの人たちの間を避けながら走る。



「サク…!?」



耳をふさいでいても聞こえたその声に立ち止まる。


振り向くとそこには目を見開くレイと浴衣姿がかわいい真理ちゃんがいた。


レイ……っ