涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。



「へへっ」



照れたような圭都の笑い声。


圭都も恥ずかしいって思ってたりするんかな……?



「あがるぞーー!!」



大きな声。


その誰かの叫び声が聞こえた次の瞬間には『ヒューー…ドン!!』と夜空に綺麗な菊の花が咲いた。


心臓に響くような、大きな音。


ドドン!パン!ドン!


次々と息つく暇もないほどに花火が夜空いっぱいに咲く。


みんなが綺麗やねって興奮したように話しているのに。



「綺麗やね!なぁ咲夜!……咲夜?」



顔をしかめるようにして、息が荒くなった私に圭都が心配したように顔を覗き込む。


ーーバクバクバクバク!


すごい勢いで動き始めた心臓。

嫌な感じがする動悸。


花火が打ち上がるたびに、なにかイヤなものに追い詰められているような感覚に陥る。


……ここにおったらダメだ。


この前といい、今日といい。

大きな音が鳴ると心臓が激しく動き出して気持ち悪い。



「ごめん…っ、けいと……っ」