涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。



「咲夜!ほれっ!」



突然差し出された手。


圭都に名前を呼ばれてぼーっとしていたことに気づいた。


手を……繋ぐの……?



「迷子になったらいかんやろ?」


「…っ……」



目の前にある圭都の手を、見る。


何度かまばたきを繰り返して、

戸惑いながら、圭都の大きな手に、自分の手を重ねた。


胸が……ドキドキしとる。


握り返される手にチカラを感じて。



「咲夜の手、ちいせぇーなぁー!」


「っ…け、圭都の手が大きいったいっ」


「……なんか、女の子って感じや。照れるわ」



私たちの間を生ぬるい風が通り抜ける。


圭都の手が熱い……


私よりも絶対熱いよ。


自分のじゃない、体温。
圭都の体温を手のひらから感じて、恥ずかしい。


手を繋ぐのって、最高に恥ずかしい。