「よっ!」
丘の前の階段。
すでに到着して座っていた圭都が、私に気づくと駆け寄って来てくれた。
早いな圭都、もう来てたんや。
……ん?ちょっと待って。
私が、遅かったとかいな?
そうやったら申し訳ない……。
「浴衣やんっ!やべぇー!ばりかわいい!!」
「……ゆっ、浴衣がね?」
「うん、浴衣が!ぐはっ!…って嘘やんか!殴らんでいいやんけ!」
お腹を抱えてうなる圭都につんと腕を組む。
いたらんこと言わんでいいったい。
「浴衣を着てる咲夜がかわいいデス」
「最初からそう言ってくれん?」
「ハイ……」
素直に「すいません」と謝る圭都に「ばか」と怒った。
もう、ほんとバカ!
機嫌を損ねた私と隣でヘラヘラ笑う圭都。
出店が並ぶ神社の方にゆっくり歩いて行くとちらほらカップルや家族連れなどが見えて来た。



