「悪い悪い、ぼーっとしてたわ!!」

俺は笑顔で二人にそう言った。

あの化物のことを忘れたかったから、元気な振りをした。

「そうか、」

陽介は怪訝そうな顔で俺を見ている。

さすがは親友、嘘はすぐに見透かされてしまう。

「平気だって!!早く教室行こー!!!」

俺は二人の背中をグイグイと押した。
二人は俺のテンションに負けたようにおう…と言いながら再び歩き出した。

(あの化物の話は教室で落ち着いてからしよう)

俺は呑気な気分で下駄箱で上靴に履き替えた。


これからあんな恐ろしい出来事を体験するとも知らずに……






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