【短】俺とあの人~狼の恋~

帰りのホームルームでのあの人は、いつもと同じだった。


また男子たちに質問されて困った顔…。



俺は助けてなんかやらねえぞ‥。


あんなビンタされたんだからな。




「ねえ由紀ちゃ~ん、日曜日はデートしてんの?」

鈴木が体を乗りだして言った。


それと同時に、あの人が机にバンって手を乗せた。



生徒全員が一斉に引いた。




「あの…プライベートな質問はやめて下さい」


真っ赤な顔のあの人。



やるときゃやるじゃん‥。



クスッと笑った俺をあの人が見た。



その目は、少し潤んでて

勇気を振り絞った後の顔だった。





そんな顔するなよ…。


助けなかったこと、

後悔してるって気づかせるなよ…。




あの人が教室から出た後、

俺は自分を責める気持ちでいっぱいになった。




あの人が困った顔をしてたのは、

俺のせいじゃないのに…。