『本…まだたくさん返却分残ってるんだった。』





そっと俺の体を押してすり抜けるようにカウンターへと向かう真由美。





何故だかこのまま離れてしまうんじゃないかって不安になる。





『渉…?どうしたの?』





気付けばカウンターへと行こうとしてた真由美の手を握ってひき止めていた。





小首を傾げて俺を見つめる真由美は、もう悲しげな顔なんてしていない。





『…渉も手伝ってくれるんだよね?』





握った手をきゅっと握りしめてそっと引っ張ってまた歩き出す真由美にホッとしてしまった。





不安になることなんてないんだ。





だって真由美は今こうして俺の側にいてくれるんだから。