『和弘、煙草なんて吸うんだ…』




換気扇に吸い込まれてくのを見つめる俺に、携帯を握りしめた裕美が話しかける。





「ごめん。煙いよな。」





灰皿に煙草を押し付けて消した。





『家からの電話、何だって?』





マグカップを2つ出してインスタントコーヒーを煎れる。





『…ご飯食べてから帰るって言ってあったんだけど…、

お父さんが帰ってこいって言ってるらしくて…』





「そっか…じゃあこれ飲んだら送るよ。」




沸いたお湯を注いだカップを裕美に手渡す。





『…ごめんね。まだ来たばっかだったのに…』





ふーっとコーヒーを冷ましながら申し訳なさそうに俺を見る。