そんなこんなで、教室に到着。

席は、あいうえお順みたいで、やっぱりというか、なんというか、水原(俺)と村山(麻里奈)は前後の席だった。

なんだろうね、この縁。
たぶん、チェーンソーかなんかで切っても切れないよ。

「またばかなこと考えてるでしょ」

前に座った麻里奈が振り返り、呆れた顔で言った。

「麻里奈こそ、俺のプライベートに入り込まないで」

「なにがプライベートよ」

麻里奈は、チラッとある方向を見てから、俺に言った。

「彼女ほしいなら、莉舞狙えば?」

「え~、俺なんか無理だろ~」

可愛すぎだし。
ほら、なんか、男子が莉舞のこと見てる。

まぁ、その点なら、麻里奈も負けてないのかも。

さっきから、無駄に男からの視線を感じるし。

見た目は可愛いしなぁ、見た目は。
胸あるし。


「莉舞なら、バカな隼人のことも面倒見てくれそうだし」

「バカじゃなーいっ」

「バカでしょ」

麻里奈は、はぁ、とため息をつき、頬杖をつきながら教室を見渡した。


俺も真似をして辺りを見る。

「くかー…っ」

えぇ、初日から爆睡!?

でかい寝息をたてていたのは、右隣の席の人。

俺とは対照的な感じ。

見た目から、クールな感じが読み取れる。

突っ伏して、腕で顔が見えないけど、黒髪綺麗だな。

なんて思って見てたら、そのひとが、ガバッと起き上がった。

で、間抜けなことに俺はびっくりして、うぉわぁっとか言っちゃった。

何事?と麻里奈もこっちを見る。

「あれ、ナツメくんじゃない?」

「ナツメくん?」

麻里奈はコイツと知り合いなのか?

「おぉ~……。…誰だっけ?」

寝ぼけ顔のナツメとやらは、麻里奈を見て呟く。

「ひどいなぁ~、青葉塾で一緒だったじゃん~」

「あ~……、あの、うるさい村山さん?」

なんでもいいけど、なんでコイツこんなスローな喋り方なんだ?

素なの?