「家はどこなの?」

「隣駅だよっ、きゃっ」

麻里奈が後ろからぎゅっと莉舞に抱きつく。
「この抱き心地いいゎー」

「私は抱き枕じゃないよぉ!」

ジタバタ暴れる莉舞が小動物みたいで可愛いから
俺も弄りたくなった。

「いひゃ、隼人くん、ほっぺ、つままらいれ!」

「なにこのほっぺた!やわらか!」

つまんだ莉舞のほっぺたはなんか、もう、ふにょふにょで、マシュマロみたいだった。

俺の声につられて麻里奈も莉舞の頬に手を伸ばす。

「ふにょふにょ~~、やばいねこれ!売れる!」

「うららいれ(売らないで)~~」

莉舞の頬で遊びまくってると、学校についていた。
さすが俺ん家から徒歩20分の高校。

この近さはやっぱいいな。

まだほっぺた争いをしている女子二人組を横目に
意気揚々と校舎に入る。


「あれ、村山さん?」

「あっ!有岡先輩!」

なんて会話が後ろで聞こえる。
振り返るとそこには、一人の男子生徒。

に、駆け寄っていく麻里奈の姿。

「あれ、誰?」

麻里奈が行ってしまったため先に歩いてきた莉舞にそう聞くと、軽く首をかしげた。

「わかんないけど、先輩だと思う」

あぁ~…、もしかしなくても昨日、麻里奈が言ってたイケメン先輩じゃん。

通る女子がみんなチラチラ見ていってるし。


名前何て言ったっけなぁ…。
昨日、麻里奈の話ろくに聞かなかったし…。