「私、門町 蘭。よろしくね。 わからないこととかあったら、なんでも聞いてね。」 彼はしばらく沈黙したあと、 「…ありがとう。」 囁くような小さな声でそうこたえた。 その声がなんだか分からないけど、 やけにすーっと心に入ってきた。 小さな声なのによく響く、澄んだ綺麗な声。 「綺麗…。」 思わずそう呟いた私に、中村くんは小さく首を傾げた。 「ううん、なんでもない。」