「いいっていいって、いつも頑張ってる蘭ちゃんにこれくらいしかしてやれないからさ。」 「凄く助かります!トマトは弟たちの大好物なんです。」 そう言って笑う私に、少し切なそうな顔を向けるおじさんに私は気づかなかった。 八百屋を出て二つめの角を曲がり、しばらく歩くと今にも傾きそうなおんぼろアパートがある。 その二階の一番奥の部屋が私の家だ。