「おー蘭ちゃん!いらっしゃい!」


商店街の一角に建つ、古びた八百屋『亀田』

その店先に並んだ野菜を眺めていると、元気な声が飛んで来た。


「おじさんこんにちは!今日は何が安い?」


店の中からでて来たのは、この店の店主惣蔵さん。私が小さい頃から、よく知っている馴染みのおじさんだ。


「今日はなー、これとこれかな?」


そう言って鮮やかな色をした野菜を幾つか持ち上げる。


「じゃあそれください!」


「はいよ!あ、そうだ。これも入れとくな!」


惣蔵さんはそう言って真っ赤なトマトを持ち上げてニカッと笑った。


「わーいつもありがとう!」