「番号、どのくらいだっけ?」
「真ん中くらい」
「そっか。じゃ、馬鹿fiveから俺たちは見えないよね」
安心したみたいに言う蒼。
その言葉に違和感を感じた。
「蒼、知られたくないの?」
蒼は口をぎゅっと閉じてあたしを見た。
「Fの碧がファンなんて言ったら……」
「このままでいいんだよ」
蒼は静かに言った。
「ファンだから、純粋に陰から応援する。
俺が出たりして、馬鹿fiveの邪魔になったら申し訳ないよ」
そうなんだ。
蒼はきっと気にしているんだね。
Fは今や天下の艶率いる有名グループだから。
それに、少し前、別のバンドの人とこじれていた。
今はメジャーデビューした人気グループ、キングのカズという人と。
蒼はよかれと思って近付いたけど……
相手は引いてしまったんだ。
何だか蒼が可哀想だと思った。
有名になってしまっただけに、ファンらしいことも出来ない。
ただ見守るだけなんて。
だけど……
きっと蒼は嬉しいよね。
それだけ大好きな馬鹿fiveのライブに来れたんだから。



