な……何、その変な名前のグループ。
「中山、馬鹿fiveのライブ行こうよ」
蒼は中山さんにすがるが、中山さんは超嫌そうな顔をしていて。
「戸崎さん。からかっているのですか?
馬鹿five?
そんなの、初めて聞きましたけど」
かなり行きたくない様子。
それで蒼は困ってしまって。
「唯ちゃ~ん」
結局あたしに回ってくる。
馬鹿five、そんな名前、聞いたこともない。
だけど、蒼が行きたいっていうんだ。
それはすごく珍しいこと。
蒼と一緒に暮らして、蒼のことたくさん知ってると思っていた。
だけど、知らないこともたくさんある。
あたしは、もっと蒼を知りたいよ。
「行こう」
あたしは笑顔で蒼に言った。
蒼は子供みたいな無邪気な顔で楽しそうに笑い、あたしの手をぎゅっと握る。
この笑顔が大好きだ。
そして、馬鹿fiveを聴いて蒼が元気になれるなら、あたしはすごく嬉しい。
蒼、ライブ楽しみだね。
蒼が好きなんだから、きっとすごくいいグループなんだね。
だけどね、Fには負けるよ、きっと。
Fを聴くと、あたしはたちまち元気になるから。