あたしは滅多に蒼に怒らない。
そんなあたしの言葉に一瞬酔いが醒めたのか、はっとしてあたしを見た。
そして、酔いが回って震える手で、いつものカッコイイサインを頑張って書いていた。
その間にも、
「おわっ。難しいなぁ」
なんて言ったりして、
「あなたが難しいとか言わないでください」
中山さんに怒られて。
結局三回書いても書けなくて、もういいですとみよちゃんにノートを取り上げられていた。
蒼はいつもこんなポジション。
そして、気付いたらみよちゃんの緊張も解けて笑っていた。
いつでも飾らない、カッコつけない蒼が大好き。
もったいないなぁなんて思ったりもする。
碧らしくしていたら、蒼はきっと、もっとモテるだろうに。
だけど自然体の蒼だから、あたしは安心出来る。
そして、蒼を慕ってくれる友達や同僚がいるんだなと思った。



