通された個室。
そこに蒼はいなかった。
一人ぽつんと座る男性……。
何回か見たことがある。
そして、この前もうちに来ていた。
蒼の後輩の中山さんだ。
中山さんはあたしを見た瞬間背筋を伸ばし、
「お世話になっています」
と頭を下げる。
蒼に対しては後輩とは思えないほどの態度をとる中山さん。
だけど、あたしに対しては礼儀正しいようだ。
蒼には礼儀正しくできないほど、蒼のことが好きなんだろう。
「こちらこそお世話になっています」
中山さんに頭を下げる。
そして、
「主人は?」
そう聞くと、彼は寂しそうにあたしに告げた。
「大学時代の友人がいたらしく、彼らに捕まっています」



