「唯ちゃん……」
唇を離した蒼は切なげに呟く。
「唯ちゃん……大好き」
それはあたしの台詞。
「……したい」
「え?」
「……抱きしめたい」
少し下を向いてはにかむ蒼が愛しい。
出来ることなら今すぐぎゅっとしたい。
蒼の体温を感じて、幸せに酔いたい。
でもね、ここはキャンプ場。
Fの碧がこんなところで淫らなことをしていたなんて報道されたらいけないでしょ?
「おうちでね」
笑顔で答えると、もぉーっと頬を膨らます蒼。
「唯ちゃんて焦らすの得意だよね」
そう言って前を向いて手を絡ませる蒼。
手が触れているだけなのに、あたしのドキドキは止まらない。
出会ってからずっとだよね。
あたしは、蒼に焦がれてやまない。
焦らしているのは蒼のほうかもしれないよね。