「予算は?」
そう聞くと、
「決まってんじゃん」
蒼はいたずらな笑顔を向ける。
「ぱーっと使うよ、ぱーっと!!」
そうなのだ。
蒼にはかなりの貯金がある。
Fの活動で入ってきた収入だ。
普段は質素な生活をしている蒼。
でも、ここぞという時に奮発する。
「あたしは……お金ない……」
思わずそう言うと、
「唯ちゃん、水臭いなぁ」
なんて笑う蒼。
その綺麗な顔をくしゃっとする。
「俺が荒稼ぎしたお金は、唯ちゃんと俺のもの。
だってさ、俺が頑張れるの、唯ちゃんのおかげだよ?」
蒼はいつもそんなことを言ってくれる。
あたしは、どう頑張っても蒼の力にはなれないのに。
でも、蒼の言葉に救われているんだ。
「ありがとう」
そう言うと、蒼は満面の笑みであたしの頭を撫でてくれた。
蒼はいつも優しい。
そして、あたしのことを大切にしてくれる。
そんな蒼が大好きだ。
八年前より……
昨日よりももっと。
蒼の笑顔を見るだけで安心する。
心が穏やかになる。
蒼って、すごい。



