周りの人はみんなFのことを話していたけど、あたしは特に何も考えずにホールにいた。

それよりも、亜美といることに意味がある、その程度だった。





やがて会場が暗くなり、アナウンスが流れて……


そして……




ホールにドラムの音が響く。

続いてベース、そしてギター。

全く予測出来ないリズム。

ギターの音が胸を抉る。

まだ始まったばかりなのに、あたしの心臓が打ち震える。




そして……



ステージが眩しい光に包まれる。

前奏が終わり、その歌声が響き渡る。

それはあたしの心を燃やし、虜にさせた。