それからさらに時間は過ぎて……
俺は建築士として働きながら、Fも続けている。
見かけは真面目なサラリーマン。
たくさん開けたピアスも、ほぼ閉じてしまった。
ただ、時々碧になるんだ。
変なオレンジ色のウイッグを被って、派手な格好をして。
そんな俺も好きだったりする。
正義のヒーローに変身みたいで。
こう思えるのも、唯ちゃんのおかげだね。
「唯ちゃ~ん」
俺は唯ちゃんの元に駆け寄り、子犬のように身を寄せる。
唯ちゃんの体温が心地よい。
唯ちゃんは俺を見て、幸せな顔で笑う。
「なぁに、蒼?」
「唯ちゃん……」
俺は唯ちゃんの瞳を覗き込む。
唯ちゃんはやっぱり頬を赤く染める。
かわいい。
大好き。
「唯ちゃん、これからもずっと俺といてね」