そして時間は流れ……
俺たちは、とうとうメジャーデビューした。
小さなライブハウスから始まって、とんとん拍子に階段を駆け上がった。
信じられなかった。
馬鹿な俺たちが、人々を狂わせるカリスマFになったんだから。
気付いたら俺は高校三年生になり、大学受験も終わっていた。
学業との二足草鞋は大変だけど、Fも止められなかった。
Fが有名になるや否や、友達から驚きの目で見られる。
「蒼、どうしたの?」
「アタマおかしくなった?」
彼らはメディアに出た碧を見て、本気で心配してくれた。
仕方がない、これが優弥のやり方だから。
俺は苦笑いしたまま、
「ネジ飛んじゃったかも」
なんて言っていた。
この頃は、しんどかったんだ。
碧として活動するのが。
人々が碧を求めるあまり、蒼は窮屈な思いをしていたんだ。