「唯ちゃん」
その甘くて優しい声であたしの名を呼ぶ。
「俺さぁ……」
蒼がそう言った時……
「てめぇ……」
背後から身の毛もよだつような低い声と、鬼のような殺気を感じた。
ビクッと飛び上がるあたし。
蒼もあたしを抱きしめたまま、ビクッと身体を強張らせる。
そして……
「こんなところで油売っていやがって!
ひなが腹空かせてんだ。
早く戻って来やがれ!!」
いつもの優弥さんの爆弾が落ちた。
なんたかんだ言って、しっかりとパパをしている優弥さん。
ひなちゃんの名前を出されたら蒼も何も出来なくて。
仕方ないなあなんて言いながらあたしの身体を離した。
蒼の温かい体温が去ってしまって、なんだか少し寂しかった。
蒼に触れればそれだけ蒼を求めてしまう。
あたしは、蒼がいないともう生きていけない。



