蒼はマイクに片手をかけ、少しだけ自分のほうに引き寄せる。
そして、あたしの大好きなその声がライブハウスに響いた。
「今日は唯ちゃんのためにライブを開くんだよ」
なに、これ。
どうなってるの?
あたしの耳に、蒼の声と鼓動の音がシンクロする。
「今、すごく不安だし、すごく緊張してる」
あたしも……
何がなんだか分からない。
「でも……精一杯頑張るから、最後まで聴いててね」
不思議な感じだな。
あたしはずっと、ステージの上にいる蒼に惚れていた。
だけどステージの上にいる蒼は碧で、あたしが惚れてもどうにもならない。
でもね、今日は違うんだ。
眩しいスポットライトを浴びた彼は蒼のままで。
あたしが独り占め出来るんだ。



