蒼、用事って何?
少し期待してしまったけど、本当に蒼の用事なんだ。
着いた場所に少し落胆した。
キラキラ光るネオン街。
夜も眠らないその街の外れにある建物。
ーライブハウス。
そこにはそう書いてあった。
蒼、最近は音楽のおの字もなかったけど、やっぱり陰で何かしていたのかな。
……というより、誰かのライブ?
だけど、ライブハウスには人影がなくて。
ライブがあるようには思えない。
それなのに蒼はあたしの手を引いて、ライトの灯るその建物に入った。
「蒼?何の用事?」
耐えきれずに聞いてしまう。
蒼はあたしを見てふっと笑っただけで、そのまま歩き続ける。
館内は誰もいないのに、照明は煌々とついていて。
そして、連れていかれたホールにも人はいないのに、明かりが点いていた。



