「王道デートってどこ行くの?」
そう言ったあたしの手をぎゅっと握る蒼。
不意に手を握られて、心臓破裂しそうで、飛び上がるあたし。
もうダメだよ。
なんでそんなにあたしを惹きつけて離さないの?
蒼はあたしの手を握ったまま、耳に唇を近づける。
「知りたい?」
甘い吐息がかかり、身体を震えが走る。
だけど、
「内緒」
蒼は無邪気な顔でそう言って、あたしの手を引いて歩きだした。
はぁー。
なんだかもう、あたしが持たないよ。
今日の蒼、なんだかおかしい。
子供みたいなのに、急にゾワッとさせたり。
蒼って、こんな人だった?
……こんな人だった。
最近はお互い慣れてしまって、昔ほどドキドキすることが少なくなっていた。
だけど、昔は違った。
あたしは蒼の行動一つ一つに狂わされていたんだ。
マンネリ化していたんだとようやく気付く。
蒼のこと大好きなのに、当たり前の存在になっていたんだ。



