何とか野菜を切り終え、みんなのところへ帰ろうとする。
山盛りの野菜を持ち上げたあたしのワンピースの裾をぎゅっとつかむ蒼。
何だか子供みたいでかわいい。
蒼は反則だね。
こうやって、あたしをどんどん虜にしていく。
「唯ちゃん」
蒼は少し甘えた声であたしを呼び、あたしに身を寄せる。
胸がどきんと脈を打ち、身体がボワっと熱を持つ。
あぁ、いつものことだけど、あたしは身体まで蒼に支配されている。
蒼が好きでたまらない。
「唯ちゃん。
せっかく二人きりなんだからさ、少し散歩しない?」
きっと疲れた優弥さんはお腹を空かせて待っている。
でも……
でもね、蒼と一緒にいたい。
その気持ちが強くて、あたしは蒼の左手をぎゅっと握った。
あたしより大きくて、そして硬い蒼の手。
その薬指の指輪があたしの手に触れて、胸のキュンキュンが止まらない。
あぁ、蒼が好き。
人ってこんなに人を好きになることが出来るんだ。
遠く、優弥さんがいる場所の方から人々の騒がしい声が聞こえた。
まだ優弥さんは人々に囲まれているのかもしれない。
そして、蒼はそれを知っていたからあたしを連れ出したのかもしれない。
それでも嬉しいよ。
蒼とのんびり散歩出来るなんて、贅沢な時間じゃん。



