やっぱり中山は暗かった。
泣きそうな顔をして、窓の外を見ている。
はぁー。
俺も泣きたい。
でも、とりあえず何か話さなきゃ。
そう思うけど言葉が出てこず、気まずい沈黙が訪れる。
だから俺は、必死で話題を探した。
ライブのこと。
Fのこと。
……だめだ!
今は中山にFの話は禁物。
泣いてしまうから。
「彼女さん……」
俺は苦し紛れに言った。
「唯ちゃんが、中山の彼女さんに会いたがってたよ?」
中山が俺を見たのが分かる。
「唯ちゃん、最近仕事に行けてないから、迷惑かけてないか心配してた。
ご飯食べた後に三人でお見舞い行こうよ」



