いつも聞いている声のはずなのに、まるで別人。 その声には柔らかみがなくて、どこか冷たくて尖ったナイフのよう。 そして、現れた彼。 いつも見ているお馬鹿な戸崎さんとは違う。 目深に被った帽子からは、オレンジ色の髪が流れている。 さらりとした髪の隙間から覗く耳には金色のピアス。 そして、長いコートに細身のパンツ。 全身から溢れるそのオーラに打ちひしがれてしまう。 戸崎さんは庶民派なのに…… なのに…… 彼は違う。 彼は戸崎さんではない。 俺がずっと憧れていた、Fの碧だ。