「蒼……」
俺が口を開いた時……
「俺は大丈夫」
蒼が静かに言った。
まるで、自分に言い聞かせているみたいに。
「唯ちゃんは遠くから応援してくれている。
……ううん、俺が唯ちゃんを応援している」
上げられた顔は、思ったよりもずっとスッキリしていて。
決心したように俺を見た。
力強い瞳だった。
「ここで負けちゃ、いけない。
全力でライブ出来なかったって知ったら、唯ちゃんは悲しむよ」
「蒼……」
「唯ちゃんと子供は大丈夫。
だって……
俺の妻と子供だもん!!」
そう言って、蒼は俺を見て頷いた。
「父ちゃん、強いよ。
自慢の父親だよ」