「麻衣子……」
亡霊はそう呟き、一歩また一歩と近寄る。
何なの、この人。
まさか……
まさか……ね。
麻衣子ちゃんは目を見開いて彼を見ていて。
あの強い麻衣子ちゃんがガクガク震えていた。
「麻衣子……やっと……見つけた」
彼はそう言って、パーカーの袖から何かを出す。
出されたものは、キラリと輝いた。
彼は、亡霊なんかじゃない。
おそらく……
いや、きっと、麻衣子ちゃんの元彼だ。
麻衣子ちゃんにDVをし、蒼を刺した男だ。
怖い……。
「麻衣子……」
男の声は掠れていて、病室に静かに響く。
助けを求めたい。
だけど、生憎同室の女性は検査でいない。
小野先生も帰ってしまった。
これってあたしたち……絶対絶命!?



