「ありがとう」
戸崎さんは嬉しそうに笑った。
そして……
「あの……」
言いにくそうに口を開く。
「今さらだけど、音楽変えていいすか?」
「!?」
何ィ!?本当に今さらだ!
やっと正気に戻ったのか!
「音楽変えてくれないと、今ここで降りる!」
「はぁ?嫌ですよ。
俺の車なのに」
「あー!
この音楽、モスキート音が酷くて耳がもげそうだよぉ!!」
「戸崎さん。
アラサーのあなたには、モスキート音なんて聞こえないでしょ?
それにこのアルバム最高です!
絶対変えませんから!!」
俺はいつもの調子でキツく言う。
だけど、さすがに戸崎さんがちょっと可哀想かなぁと思った。
そんなことを考えているうちに、目的地の病院に着いてしまって。
「中山、ありがとう!!
絶対借りは返すから!
……てか、幼馴染にサポートベース頼んどくからぁ!」
戸崎さんはそう叫んで入り口へ駆けていった。
俺はそんな戸崎さんの後ろ姿を見つめていた。
俺はやっぱり戸崎さんのファンだ。
そして、戸崎さんもきっと俺のことを少し特別に思ってくれているんだろうな。
そう考えると嬉しかった。
俺はどんな時も戸崎さんを応援しているから。



