「あたしの夫が変態だと思われたよ」



「唯ちゃん……」



「寂しいな。

蒼はあたしのなのに。

あたしにも言わないようなこと言って。

そんなにムラムラしてるなら……」



「唯ちゃん!違うんだよ!!」




蒼は泣きそうな声で言って、あたしの身体をぎゅっと抱きしめる。

そして……



「聞いて、唯ちゃん!

俺……」




無理矢理あたしの顔を覗き込んだ。

だから、我慢出来ず笑ってしまった。

蒼の狼狽した顔を見て。




何言ってるの?

あたしは気にしてないよ。

蒼の苦労だって知ってるし、今始まったことでもない。

そんなことで悲しんでちゃ、碧の妻なんて務まらないでしょ?






声を立てて笑うあたしを見て、蒼も顔を綻ばせる。

そして、あたしに優しい口づけをくれる。

それだけであたしの心は満たされる。





「蒼はそんなこと言わないよ?

変態なことなんてしたくないし、唯ちゃんだけを見てるから」




その言葉が何よりも嬉しい。




「俺は、唯ちゃんがいてくれたら、他になーんにもいらないんだ」



「あたしもだよ」




そして、ふと思った。




「ううん、違う。

蒼と、蒼の子供、だよ」





何かと事件が起こるけど、こうやって蒼と一緒にいることができて、すごく幸せ。

蒼がゆっくりと伸ばした手。

その手の触れたお腹の中で、ビクン……何かが動いた気がした。