投げ出された蒼の仕事鞄。
その奥に腕を押さえて壁にもたれている蒼。
一見、疲れているだけに見えたのだが……
押さえられた腕の先……
濃いグレーのスーツの袖から見える手からは真っ赤な血が滴り落ちていた。
「蒼!?」
思わず駆け寄っていた。
「唯ちゃん……何でかな?」
蒼は青ざめた顔であたしを見た。
顔を歪めて肩で息をしている。
「お前のような変態に、彼女を渡さないって襲われた。
……何?勘違いじゃない?」
「おい!!蒼!」
麻衣子ちゃんの悲鳴のような声が聞こえる。
まさか……ね……
「俺……馬鹿なこと喋りすぎたかな。
やっぱ世間は信じるよね……」
「何言ってんだよ!!
碧なんて嘘の塊だろ?」
麻衣子ちゃんが蒼の横にしゃがみこむ。
「ごめん……蒼……あたしのせいだ……」
「何の……こと……?」
蒼はそう言い残して、崩れ落ちるように床に倒れた。



