酷いつわりもようやく落ち着いてきた。
まだ完全に元気ではないが、何とか動けるようになってきた。
そして、お腹の双子も順調で。
もうすぐでいわゆる安定期に入るところだ。
あたしの体調が良くなるにつれ、蒼はさらに忙しくなっていった。
仕事に行って、スタジオに行って、夜遅くに帰ってくる。
そこまで追い詰めなくてもいいのにと言うと、蒼は少し悲しげに言う。
「俺にはお金を貯めることしか出来ない。
でもね、唯ちゃんの体調が悪くなったらすぐ帰るから」
あたしのことを大切にしてくれる蒼らしかった。
実際、家には麻衣子ちゃんや蒼の友達が頻繁に来ていて。
あたしの夕食を用意してくれたり、その他家事を手伝ってくれたりしていた。