中山さんだけではない。
あたしも言葉を失って。
ただぽかーんと蒼を見ていた。
「ごめん、俺は碧じゃない」
何言ってんの?
だって、蒼いつもギターの練習してたじゃん。
ライブも、テレビだって、蒼が出演したところちゃんと見た。
蒼、何が言いたいの?
あたしは蒼をじっと見た。
そして、蒼が楽しそうに口を開いた。
「俺は彼の双子の弟」
「……え?」
「黙っててごめん」
にっと笑う蒼を見て……
やっぱり中山さんは爆発した。
「ふふふふふざけないでください!!
あなたの双子フィーバーにはイラつくばかりです!」
どうやら中山さんも蒼の冗談だと分かっているようで。
「あなた、最近客や社員にもそう言っていますね?
いつも質問攻めに遭うのは俺たちなんですよ?」
そんな事実を教えてくれた。
そうなんだ。
蒼、最近そんなことを言ってるんだ。
いつものタチの悪い蒼の冗談だと思っていた。
だけど、冗談だけではないようで。
「まーまー。
そう言っておいてよ。
何かと面倒なんだよ」
蒼は困った顔をして続けた。
「これ以上プライベート壊されるの嫌だし。
変な噂たつの嫌だし。
会社追い出されるの嫌だし」
それで悟った。
やっぱり蒼は何か行動をしようとしていると。
どうして今になってなのかは分からないが。
「俺は双子の兄貴のことを考えると頭が痛いんだよぉ」



