前田課長といる男性は、課長よりも年上で厳しい顔をしていた。

会社の幹部かもしれない。

そして、俺を叱りににきたに違いない。

だけど、叱られて当然。

甘んじてその言葉を受け入れようとした。




……が。







「戸崎。家建てたいんだって?」




課長の思わぬ言葉に、




「え?」




俺は思わず聞き返していた。




「今、ちょうどいい土地が出てるって不動産事業部から連絡があったんだけど」




前田課長がそう言うと、




「はじめまして。

不動産事業部の山田と申します」




厳しい顔の男性は自己紹介し、名刺を差し出す。

俺はきょとんとしたまま、彼の話を聞いた。