そんなわけで、妖怪はもう少しうちに居候することになった。
お金なんてたくさんあるはずなのに、どうしてこんな狭いところに居候してくれるんだろう。
どうして唯ちゃんにこだわるんだろう。
そう思いながらも、感謝していた。
妖怪みたいな強い女がいたら、唯ちゃんもファンから攻撃されることはないだろう。
そう信じていた。
「あんた、マジでサラリーマンなんだ」
久しぶりにスーツを着て、革靴を履く俺に妖怪は言った。
「才能ないからね」
そう言うと、
「嫌味かよ」
フンッと鼻を鳴らした。
妖怪がFのことをどう思っているかは分からない。
お互い深い話はしないから。
恐らく妖怪はFを嫌っているのだろう。
だけど、俺は妖怪の才能はすごいと思う。
俺なんかよりずっと。
一人で作曲も作詞もして、一人であの世界を渡っているのだから。
そういうところは尊敬している。
本人には言わないけど。



