「え……?」




咄嗟の出来事で、理解出来なかった。

俺はただ、目の前に立つ妖怪を見た。




テレビでは決して見せないその表情。

怒りに燃えたその瞳は、まるでゴキブリでも見るように俺に向けられている。



……やばい。

優弥よりも凄まじい。






「……どうしたの?」



冷静を装いそう聞くと、案の定




「どうしたの、じゃねーよ」




乱暴な言葉が返ってくる。




「今日は仕事ないの?」



「悪かったね、オフで」




妖怪はそう言って、俺を品定めするかのように、頭からつま先まで睨み下ろす。

こういう視線は苦手だ。




「あ。態度が悪いから仕事なくなったのか」




わざとそう言うと、




「猫被ってるし。

……てか、あんたじゃねーし」




またまた喧嘩を売るような言葉。

だけど、そう言われても仕方ない。

妖怪は仕事ではイイ子を演じているみたいだから。

……なんだかモヤモヤするけど。