茫然とするあたし。
やたら心臓の音だけが大きい。
慎吾はあたしを見て、ふっと笑った。
蒼みたいな優しい笑みだった。
「唯、最近、蒼とギクシャクしてるんでしょ」
「え?」
「蒼が悩んでたよ?」
……そっか。
あたしがまた劣等感の発作を起こしてしまって。
敏感な蒼は気にしていたんだ。
あたし、馬鹿だよね。
蒼はこんなにもあたしを大切にしてくれているのに。
分かっていたのに。
なのに、久しぶりに卑屈になってしまっていた。
「ホルモンの乱れかな?」
「……ホルモン?
焼肉ならカルビが好きだけど」
「はぁ……唯って時々蒼並みに馬鹿だね」
馬鹿って失礼な!
気付いたら、蒼みたいに頬を膨らませて慎吾を見ていた。
そんなあたしを見て、楽しそうに笑う慎吾。
「憂鬱な気分とか、訳わからない謎の熱意とか。
女性ホルモン乱れてんじゃない?」
「慎吾、何言って……」
「唯、ちゃんと調べたほうがいいよ」
慎吾は真顔であたしを見つめていた。