「ねぇ、唯ちゃん?」
蒼はあたしをじっと見る。
そのまっすぐな瞳に、あたしの心の奥底まで見透かされそう。
あたしは蒼から目を逸らし、立ち上がろうとする。
そんなあたしの手を、蒼はぎゅっと握った。
「唯ちゃん」
思わずソファーに倒れこんだあたしに、優しく手を伸ばす蒼。
きゅんとして、顔が熱くなる。
あたしはこうだっていうのに、蒼はいつも平静だ。
「どうしたの?」
その甘くて優しい声に耳が溶けそう。
あたしはこんなに狂わされるのに、蒼はどうして平気なの?
……それはさ、やっぱり相手があたしだから。
平凡だし色気もないし。
きっと蒼は安心してるんだ。
あたしが浮気なんてするはずないと思って。
だから、安全パイと結婚したんだ。
どんどん卑屈になっていくあたし。
どうして今まで気付かなかったんだろう。
蒼があたしに対して圧倒的優位に立っていることに。



