「うっわ~。
また優弥テレビに出てるよ?」
蒼がニヤニヤ笑いながら素人による歌番組に見入っている。
優弥さんはもちろん審査員で、ヘッドホンを聞きながら、そのトレードマークのしかめっ面をかましていた。
そして、
「発声の仕方がなってない」
などと容赦なく駄目出しをする。
涙ぐむ参加者。
蒼はため息をついて、
「はぁ~、可哀想。
その惨めな気持ち、すごく分かるよ」
なんてこぼしていた。
優弥さんは決して甘いことは言わない。
それは、Fに対しても、それ以外に対しても。
そんなドSの優弥さんだけど、Fをはじめとするみんなに慕われている。
それは、厳しさの中にも優しさがあるからだろう。