CDショップの前を通り過ぎた。
大きなポスターからあたしを見ているのは、ギターを抱え、儚げな表情であたしを見るMY。
そして、MYの歌うクリスマスソングがどこからともなく流れてきた。
その天使の歌声を聴いて、胸がじーんとするとともに、微かに嫉妬した。
……MYが羨ましい。
もし、あたしがMYだったら……
ぼーっと歩いているあたし。
そんなあたしに……
ドンッ!!
急に衝撃が走り、
「きゃっ!!」
女性の声が響いた。
「す……すみません」
思わずそう言って、足元にしゃがみこむ女性を見たとき……
あたしは言葉を失った。