頭から離れない。
あの伸びやかな歌声が。
「ゆーいちゃんッ!!」
遠くから蒼の声が聞こえる。
あたしは扉に背を向けたまま、木目調のギターを触っていた。
もちろん蒼の大切なギター。
値段は何百万近いとも聞いたことがある。
そして、ギターを触るのは八年ぶり。
……そう、あの学祭の日から、あたしはギターを封印していたのだ。
あたしには、一緒に練習してくれる人も、人に見せるライブもない。
それに、Fを聴いているだけで十分だったから。
だけど……
にわかに触発されてしまった。
女性シンガーソングライターのMYに。
あんな風にギターを弾いて歌ったら、かっこいいし気持ちいいだろうな……と。



