「さっきも艶さんにキレられてたぞ。
エフェクター壊したって」
「携帯も壊したらしいね」
「あぁ……自分の車で踏んづけたんだろ?」
俺と中山は顔を見合わせた。
これは……
これはまさか……
「俺、碧さんに憧れてオーディション受けたのに」
「艶さんが滅茶苦茶厳しく指導してるみたいだよ?」
「艶さん怖ぇ……」
中山はホッとして泣き出しそうな顔をしていて。
「……そんなことだろうと思いましたよ」
震える声でそう言った。
「良かったです。
戸崎さんが俺たちのことを見捨てていなくて。
携帯、壊れていたんですね」
そうだな。
本当に良かった。
心の奥がすーっと軽くなった。
俺は、やっぱり戸崎を切望している。
「てめぇら!
無駄口叩くな!
練習に戻れ!」
急に艶さんの怒鳴り声が聞こえ、ビクッと飛び上がる二人。
艶さんに深々と頭を下げて、スタジオの奥へと消えていった。
そして……
玄関を覗いている俺たちに気がつき、軽く頭を下げた。



